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An Object of Charity [Historical]

Captain Michael Lynch は、イングランド海軍Admirableの船長です。彼の船は事故で損傷し現在ドッグに入っているためドッグの近くの定宿で暮らしています。ある日、事故で死亡した部下の姪と甥が尋ねてきます。彼らに部下のことを告げると礼を言って二人で帰っていきました。

帰り際に、近くで仕事を探すつもりだと姉のSallyが言ったことに引っ掛かりを感じたMichael ですが、そのまま二人を行かせてしまいます。しばらくたってクリスマス前のこの時期には女性がつける仕事がほとんどないことに気が付き、慌てて二人を追いかけます。

なんとか二人に追いついたMichaelは、クリスマスを過ごすところがない二人を連れて22年ぶりに実家に帰ることを決心します。


Carla Kelly's Christmas Collection (Carla Kelly's Regency Romances Series) (English Edition)

Carla Kelly's Christmas Collection (Carla Kelly's Regency Romances Series) (English Edition)

  • 作者: Kelly, Carla
  • 出版社/メーカー: Cedar Fort, Inc.
  • 発売日: 2011/10/10
  • メディア: Kindle版


Carla Kelly のクリスマス短編集の中の一篇
Kindle Unlimited で読みました。

年号などは書かれていないのですが、リージェンシーと思います。
14歳で海軍に入って以来22年をほぼ海の上で過ごしたヒーローは、好意を持った女性にどのように接して良いかがわかりません。この短編集は不器用な30男たちがヒーローなのかも?

14歳の時のある出来事をきっかけに家から出奔して、一人きりで生きてきたヒーローの心の底に隠れていた家族を求める気持ちを目覚めさせたヒロイン というお話かな? 派手さはないのですが、シミジミとしていいお話でした。
終始ヒーロー目線で描かれますが、ヒロインが自分の気持ちを口にするタイプのため何を考えているのかは読者にもヒーローにもわかります。


この先、思いっきりネタバレです

ヒーローが帰省しなかった理由は中盤で明かされます。なんというか、跡取りとスペアの複雑な感情のもつれなのかな? 6歳くらい年上のお兄さんが一方的に弟の存在を恐れている様子もあるので、私が読めていない何かがあるのかもしれません。

出奔の原因は、ヒーローが14歳の時に兄の婚約者の女性を好きになってしまったことから兄弟喧嘩になり、それが決闘にまでエスカレートしたことです。ヒーローは銃を撃っていないはずなのに、銃声がして兄が負傷したことを知ったヒーローはそのまま家を離れ海軍に入隊したのでした。

再会した兄は、「お前を確実に家から追い出すために、わざと自分で自分を撃った」と認めます。家と財産を継いでその土地に縛られて生きていくことが義務付けられた兄は自由に道を選べる弟をうらやんいたのかもしれません。ストーリーの中で二人は完全な和解にはなりません。(なったら嘘っぽく感じるとお思います。)

ヒロインのSallyはスコットランドで父親と弟のThomasと暮らしていましたが、経営の才能の無い父親が叔父(ヒーローの部下)からの送金をつぎ込んでは利益が出せない状態のまま亡くなってしまいます。葬儀を行い借金を返したらほんの少しのお金以外何も残らなかったため、叔父を頼ってドッグまできたのですが、待っていたのは叔父が亡くなったという知らせでした。

他に頼る所がない二人は、ヒーローの慈悲に縋るくらいならば救貧院に行こうと考えますが、ヒーローに叔父の遺産が入ったら後払いすれば良いと説得します。ヒーローの実家へ向かう途中、この境遇の中から明るい面や希望が持てる道を考えては弟を安心させるSallyにヒーローは徐々に影響されていきます。決闘騒動からすべてが悪い方に転がってしまった人生とばかり考えていた所を、海軍生活を楽しみで十分に活躍でき船長にまで出世したことは良かったのではと思えるようになります。

22年前には軽薄に流行を追いかけていたヒーローの母が、孤児院の子供たちにクリスマスプレゼントの人形を手作りするなど地域で名の知れた篤志家となり、ヒーローのことをずーっと待っていました。
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