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Beyond the Sunrise [Historical]

フランスから英国へ亡命してきた伯爵の娘Jeanneは、父と共に英国の侯爵家のハウスパーティーに招待されます。まだ、15歳だからと主な催しには参加を許されず部屋でメイドと過ごすことが多くなり退屈していました。ある日、前に遠くから見かけて気なっていた侯爵の私生児Robertに声をかけます。

17歳のRobertは小さなころは、時々家に帰ってくる父と優しい母の三人家族で幸せな普通の家族だとと思っていました。母が亡くなり父の屋敷に引き取られて、自分が私生児であり父の唯一の子供であるものの公には何物でもないことを知ります。

ハウスパーティーの間、招待客と距離を置くように言われていましたが、ほんの数日間Jeanneと過ごしても問題ないだろうと考え、周囲に内緒で二人で過ごすことを承知します。二人が次第に親しくなっていったことが親に知られれ、二人の初恋は破れました。

11年後ポルトガルにて、二人はポルトガルの侯爵未亡人と英国ライフル部隊の士官として再会します。RobertはすぐにJeanneに気が付きますが、JeanneはRobertのことに気が付きません。

そして、ウエリントン子爵から対フランス情報戦に二人とも諜報員として加わることになりますが、Jeanneはそれに乗じて自分自身の復讐を遂げるための策を密かに練ります



Beyond the Sunrise (English Edition)

Beyond the Sunrise (English Edition)

  • 作者: Balogh, Mary
  • 出版社/メーカー: Berkley
  • 発売日: 2015/02/03
  • メディア: Kindle版


メアリ・バログのスパイ物で作品の舞台はポルトガルとスペイン、単発物のようです。

ヒロインJeanneは、フランスの伯爵と英国貴族出身の母の間に生まれました。物心つくころから英国で暮らしていることもあり、英国で英国人として暮らしたいと考えています。ところが、父親がフランス新政府で外交の職についたことから、政治的な理由で父親ほど年が離れたポルトガルの侯爵と結婚します。仲が良くなかった夫が亡くなり26歳の現在気軽な未亡人生活をしています。

Jeanneの母親は夫と別れた後ポルトガルの上流階級の男性と結婚して、二男一女(Duarte, Miguel, Maria)をもうけてます。そして、攻め込んできたフランス軍の士官の命令でMiguel, Mariaは殺害され、Jeanneは復讐を誓います。それ以来、フランス風のJeanneではなくてJoanaと名乗るようになりました。

英国ポルトガル連合軍がスペインから侵攻してくるフランス軍を迎え撃つ状況の中、司令部のある場所では社交、前線に近い場所では戦闘が描かれます。ヒロインのJoanaはバログのヒロインには珍しい?衝動的で行動力のある意志の強い女性です。

ポルトガルの社交界では侯爵未亡人として常に純白のドレス、フランスの社交界ではポルトガル貴族に嫁いだフランス伯爵の令嬢として鮮やかな色のドレス、異父弟たちパルチザン仲間の間では、Joana Ribeiroとして粗末なドレスと身なりを変え、それに合わせ言動も変え活動しています。その理由をヒーローに明かさないため信用のならない女と思われてしまって仲が進む障害に

Robertは父親に任官辞令を買ってもらっての入隊ではなく、志願兵として入隊し父親のことは伏せて自力で士官になりました。金髪の巻き毛に青い瞳の繊細な青年は11年の時を経て、顔にはいくつかの傷を負い逞しくなり、ライフル部隊の緑色の制服は着古してみすぼらしくなっています。

Joanaとは住む世界が違い生涯をともにすることはできないと硬く信じているため、ロマンスの進みは遅く恋人同士になっても、一時的なものでいずれはそれぞれの道をと考えます。

ヒロインも、いくらRobertを愛していてもいずれは別れて身分の釣り合う別の男性と結婚することを考えています。

現代の感覚では互いが合意すればどんな道でも力を合わせてですが、この時代貴族の令嬢から貴族夫人になったJoanaと貴族の私生児に生まれて紳士ではないRobertとの結婚はまずありえません。貴族の未亡人のJoanaが気に入った士官を愛人にするのは、まあOKな社会ではあるのですが....

結婚した場合は、どちらの社会からも受け入れられず二人で孤立して行き詰まる可能性がとても高いため、Robertの気持ちも理解できます。このあたり知らないで読むとイライラするかもしれません。
日本ではあまり人気がでないような気がしますし、これまでバログの単発もので翻訳されたのは「秘密の真珠に」くらいなので、望みは薄そうです。

ストーリーはほぼ歴史的事実に沿って展開します。作家の創作部分については巻末のHistorical Noteに記載されています。
タグ:Spain Portugal SPY
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