And Then He Kissed Her

1890年代ロンドン、Miss Emma(Emmaline) Dove は、Harry, Viscount Marlowe の秘書として働いています。５年間まじめにきっちり仕事をこなしてきたEmmaがいなくては、 Viscount Marlowe の出版社は回らないくらいになっていました。そんな、Emma の夢はいつか自分の書いたエチケット本を出版することです。これまでも幾度か Viscount Marlowe に出版のお願いをしていましたが、そのつど断られてきました。それでも、諦めずに30歳の誕生日の目前にもう一度とViscount Marlowe に原稿を渡して読んでほしいと頼みました。

And Then He Kissed Her

• 作者: Laura Lee Guhrke
• 出版社/メーカー: Avon
• 発売日: 2007/03/01
• メディア: マスマーケット

Harry は、若いころに一度結婚しましたが、妻に他に好きな男性ができて出奔し離婚するというスキャンダルを経験して結婚などころごりと考えています。当時は姉妹たちが未婚だったこともありそれを乗り越え姉妹を嫁がせることに腐心してきました。祖母、母親、姉妹たちが一致団結して Harry を再婚させようとあれこれ策をめぐらすのがうっとうしくてなりません。最近では、Harry の好みとタイプと思われる女性を数人自宅に招待する始末、自宅でゆっくりくつろぐこともできません。そんなこんなで Emma の原稿を気になれずちらりと一瞥しただけで、ダメ出しをし　彼女に伝えました。

またか、と思った Emma は、それでも諦めずに機会を待つつもりでしたが、ふとしたことから Harry が自分の原稿を読んでいないことに気がつき、怒りのあまり予告なく退職してしまいます。

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評価：B

ビクトリア朝後半の時代設定で、電話やタイプライター、汽車が走っている生活はちょっと珍しいです。それ以外にはあまりビクトリア朝っぽいところはないような気がしますが.....
とはいっても、ストーリーは王道路線、Linda Lee Guhrke の デビュー作のGuilty Pleasures 「愛のかけらは菫色」と似たプロットなので、こちらを読んでいると　どっかで読んだような　といった気分になるかもしれません。

Guilty Pleasures にヒロインが20歳前半で世間ずれしていないのにくらべ、本作のヒロインは30歳目前で秘書として働いていて大人です。ヒーローはあまり違いがないような.....　Guilty Pleasures は公爵さまなので傲慢度高いですが、こっちは子爵様で実業家ということもあってそうでもないところが違うといったところ。

ヒロイン　Miss. Dove の愛猫が Mr. Pigeon。
Emmaのマナー本の記事　たとえば　若い未婚の女性はパーティで鶏が出たときには wing を食べるべし、なぜなら thigh とか breast なんて扇情的な言葉を口にしてはいけないから　（爆
といった細かいところが笑えます。

翻訳はこちら

淑女にささげるキスの作法 (ラズベリーブックス)

• 作者: ローラ・リー・ガーク
• 出版社/メーカー: 竹書房
• 発売日: 2010/06/10
• メディア: 文庫

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