Surrender：Hisa's book review：SSブログ

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Surrender　[Historical] [編集]

Mr. Jason Moran はハーバードに在学中のクリスマス休暇に同級生でボストン名家出身のMr. Hale Prescottの実家に招待されました。その時に、JasonはHaleの妹 Lauraに一目ぼれし彼女と結婚したいものだと思います。

そして数年後、事業を起こして資産家となったJasonは願いとおりLauraと結婚します。長年の夢がかなったのですが、Lauraとの間がうまくいかずギクシャクしています。Lauraを大切に思っているのですが、Jasonの思いはLauraに通じずLauraは何としてもJasonを不愉快にしてしまうと悩んでいます。

結婚後初めてのクリスマス休暇をLauraの姉の家で過ごすことになり、そこで二人は少しずつ互いの気持ちを理解しはじめます。

Gifts of Love

作者: Kay Hooper
出版社/メーカー: Avon
発売日: 2006/10/31
メディア: マスマーケット

評価：B
Gift of Love (邦題：愛の贈り物)の１作「聖なる夜に誓いを」です。翻訳では先にLisa Kleypasのこの作品が収録されていますが、本書では先にKey Hooperの方が収録されています。

Jasonはアイルランド移民の子供です。アメリカにおけるカソリック系アイルランド移民(本作で明記していないと思いますがMoran家はカソリックと思われる)の扱いを知っていないとJasonが単なるひねくれ者の認知障害者のように感じられるかもしれません。当時のアメリカでの名門はWASP(White Anglo-Saxon Protestant)で、アイルランド人は主に労働者としてWASPの家庭の下働きや召使として生活していました。自由の国アメリカとは言え階級意識は相当強いので、ハーバード大学に貧乏労働者の息子Jasonがいることに嫌悪感を隠そうともしない上流出身の学生たちに常に差別されていたと考えられます。親友のHaleでさえ、友人としては認めるが、妹の夫としてはふさわしくないと二人の結婚に反対したことがそれを物語っています。Jasonは、親友にまで拒絶されたことで上流の人間は誰も自分を受け入れてくれないと思い込むのも無理はないと感じます。

救いはLauraが初対面の時から、Jasonのことが好きで上手くやっていきたいとずっと願いつづけ働きかけを続けていたこと。Jasonの出自を気にしていないし、彼の一家と良い関係を気付こうと考えていること。そうでないとロマンスにはなりませんが（笑

Jasonは、のちの作品の平民ヒーロー Derek(Dreaming of you)、Matthew(Scandal in Spring)そしてZachary(Where Dreams Begin)の原型になったのかなと思います。Jasonの気持ちにどれだけ寄り添えるかで好き嫌いが分かれると思います。